鳥獣保護法
辟田婦負守
私の自宅は農村地帯の端にある。隣は神社の杜だし、すぐ横を幅7m程の川も流れている。つまり、小さいながらも豊富な自然に囲まれている。
自然が豊富だと、それに伴って自然の動物たちが集まってくる。まずは鳥。神社の杜の杉の大木は高さ30mほどもあるためアオサギが巣くう。アオサギはサギの中でも最も高い場所に巣を作る習性があるため、神社の年季の入った杜が狙われるのである。ご存じの方もいらっしゃるだろうが、アオサギは図体がでかい。そして声もでかい。その大きな体で杉の木の先端に巣を作るため、枝が折れたり、糞で新芽が枯れたり、杜を管理している側にしてみるとハラハラものなのである。はっきり言って神社サイドでは「害鳥」なのである。そして声がひどい。「ぎゃーぐぁーぐぇー!」と夜中でも平気で騒ぐ。隣で寝ている者にしてみれば、夢見の悪いことと言ったらありゃしないのである。
アオサギのでかいのは図体と声だけではない。態度もでかい鳥なのだ。ときどき境内を歩いているのだが、そばによってもあまり逃げようとしない。あまりの態度のでかさに宮司がげんこつでアオサギの背中を殴ったときも、ビクッとはしたものの、逃げもせずににらみ返してきたほどである。宮司はそれでひるんでしまった。鳥獣保護法で守られていることを知っているかのようである。
そしてキジ。窓ガラスを突き破って私の部屋に乱入してきたこともある。子連れの母キジは見ていても心が和みそうだが、勝手に人んちの玄関に入ってこられると驚く。お互いに顔を見合わせて「びくぅっ!!」となってしまう。母キジがパニくると子供たちもパニくって、玄関で大わらわになる。是非やめてもらいたい。
他にもいろいろな鳥が家に入ってきたり、ガラスにぶつかってノビていたりして手間がかかる。バードウォッチャーがいたら泣いて喜びそうな環境ではある。
けもの。これもいろいろいる。境内でタヌキと出くわしたり、イタチやテンを目撃したり、屋根裏に巣くうものはドブネズミにムササビをはじめ諸々である。
つい先日も屋根裏がやけに騒々しい。大工を呼んで見てもらったらハクビシンの親子が巣くっていた。体長40cm以上もあるでかい子供が3匹、巣の中にうずくまっている。ハクビシンといえば、普通は目にすることのない珍しい動物というイメージがあるのだが、いざ屋根裏で同居していたとなると妙な気分である。
対処に困って鳥獣保護センターに電話をしてみたところ「もう、要りません」との答え。他のセンターに電話をしても、似たようなお答え。法的に殺したりできないので、ほとほと困り果ててしまった。やむなく、段ボール箱に入れて家の裏に放置しておいたら、夜のうちに親が来て連れて行ったようだ。ほっと一安心したとき、林業従事者の氏子さんの言葉が思い出された。
「ハクビシンは一年中、いつ捕まえて食べても美味しいんだ。」
・・・って、ちょくちょく食べてらしたんですね。ここだけの話と言うことで。