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“地響き”に捧ぐ No.31 Y.R | ||
これは中学校教諭が若い頃体験した帰宅途中の事件である。 普段通りの一日を終えた彼が電車に揺られていると、これといった前触れもなく嘔吐感が襲いかかった。そのとき彼はこの電車が満員であることを呪った。彼は耐えるしかなかったのである。 「胃袋がグネングネン躍っているのがわかるんだぜ。」 彼は当時の状況をこのように説明している。 「大丈夫ですか!?」 大丈夫なわけがない。これは正常(?)なゲロではない。彼のゲロにはかなりの量の血液が混ざっている。ともかく危険を感じた駅員は死にかけの彼を駅員室に担ぎ込んだ。次いで身分証を調べ、家に電話をした。 「大学の兄ちゃんのことかと思って大学まで行ってきた。」 |
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第一話 Eの恐怖 No.75 S.A | ||
あれは私が高校1年の時だったろうか。私はとんでもないものを見てしまった。 「先生・・・・おええっぷ!!」 声と同時に何かの飛び散る音がした。そう、何か液体のような・・・・ |
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第二話 Kの恐怖 No.75 S.A | ||
あれは私が中学三年のときだっただろうか。私はとんでもないモノを見てしまった。 その日は学校行事の一環『マラソン大会』なるものがある日だった。生徒全員でバスに乗り込み、わざわざ一時間以上もかけて近郊の森林公園まで行き、およそ10キロものマラソンコースを走破するのだ(坂道というかほとんど山道。あれがマラソンコースとはお笑いぐさである)。 いやもう走った走った。1、2年のときの経験から『一度でも止まったらアウトだ!』と思っていた私は、多少ペースは遅かったが一度も止まらずに完走した。順位は50番台、まあ早いほうだった。そして私は、完走した満足感の中で、ゴール直後にげろげろー・・・・というのはウソで、本当の恐怖は帰り道にあったのである。 やはり10キロは辛かった。帰りのバスの中は眠りこけている奴が大半を占め、ほとんど気づかぬうちに学校の近くまで帰り着いていた。恐怖はその直後に起こる。 学校の前の通りにバスが停まり、降りてすぐに解散。皆、各々の帰路についた。私も家が近所にある友人Nと一緒に歩き出した。そのとき私たち二人は後ろから走ってくる人影に気づいた。振り向くとそれは友人Kであった。私たちは彼がこちらを見つけて駆けてきたものと思った。が、それは大間違いだったのである。Nが「おーい」と声を掛けたそのとき、不意にKの走路が左40°に折れ曲がった。そして私たちのいる場所の真横に生えていた街路樹に向かっていき、その根元に向かってやったのである。(距離わずか50cm!) 「おええええっっ!(びちゃ)」 「うわああっ!(ひっかかりそうになった私とN)」 私とNはこのとき、日本語混じりの英語でこういった。 “I saw げろ 直視”(直接見たという意味を含む「げろ」にかかる補語)と。 Kのあだ名は、その吐き出された物の形状から『バッキー(ばっちい・黄色い、の略語)スライム』と改められた。ああ、思い出しただけでも気持ちが悪い。(第二話・完) |
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色の不思議 No.65 A.T | ||
ゲロというものは食べたものによって様々な形態を呈するということは周知の事実であろう。しかし、なぜか色は一律似通った、俗に言うところの『肌色じみたゲロ色』である。ところが、今回私のお話しするのは「ゲロの色は時には一変する」という恐怖の体験談である。 あれは去年の秋口のことだった。当時高校二年生だった私は、前日の文化祭の打ち上げパーティーでしこたま飲み食いして(主に飲む方だったが)胃腸を完全に痛めていた。それだけならまだよかったのだが、季節の変わり目、軽い風邪をこじらせて非常に身体がだるかった。昼休み。私は胃の調子が悪いにもかかわらず、学食で定食を食べた。その日のメニューは『豚カツ・揚げ餃子・ポテトサラダ・味噌汁』という、揚げ物を主体とした「胃に悪い物」ばかりだった。その上、この豚カツが曲者で、豚カツとは名ばかりの厚さ3ミリの「ころもあげ」である。脂っぽいことこの上ない。あまつさえ、その断面図は半ナマのため、『完全なピンク色』をしていた。ここで食べるのをやめればよかったのだが、自分の身体に自信を持っている私は、ためらうことなくそれを食したのだった。 「あん?あと10分だっちゃ。小テスト受けてからにし。」 非情にもそう言うと、10分間テストを配りはじめたのだった。 「えろろろろろろろ・・・・・・・・」 皆の視線が私のところに集まった。そして彼らは、こともあろうに指の隙間から『ピンク色のゲロ』を流している私を目撃してしまったのである。私は皆の視線を浴びながらトイレへ突っ走っていった。 |
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